40代を過ぎてからのロングツーリングは、いかに体力を温存しつつ絶景を楽しむかが鍵となります。特に鹿児島・桜島周辺は、その雄大さゆえに移動距離も伸びがちです。今回は、無理に走り続けず、フェリーを「動く休憩所」として賢く活用。極力歩かずに、愛車に跨ったまま火山のエネルギーを肌で感じる、大人世代に優しい錦江湾巡りをご提案します。
船上の15分は極上のリラックスタイム。桜島フェリーで繋ぐ「楽ちん」ショートカット
鹿児島市街地から桜島へ渡るなら、迷わず「桜島フェリー」を利用しましょう。24時間運航しているこのフェリーは、ライダーにとって単なる移動手段以上の価値があります。乗船時間はわずか15分ほどですが、潮風に吹かれながら刻一刻と近づく桜島の雄姿を眺める時間は、地上を走っているときとは違う開放感を与えてくれます。大型バイクでもベテランの係員が手際よく誘導してくれるため、乗船の不安もありません。名物の「やぶ金」のうどんを船上で啜るのも、旅番組のような風情があって良いものです。走行距離を短縮しながら、バイクを降りずに海の上から絶景を独占する。この「ズルい」ほどの効率の良さが、大人の旅には必要なのです。
溶岩道路をゆったり流す。国道224号線で火山灰の歴史を五感で味わう
フェリーを降りたら、国道224号線を南下して桜島を半周するルートへ。ここは左右を荒々しい溶岩原に囲まれた、日本でも類を見ないダイナミックな道です。有村溶岩展望所付近では、立ち止まらずともヘルメット越しに火山の息吹を感じることができるでしょう。ただし、路肩に溜まった火山灰は大型バイクにとってスリップの天敵。ここでは「攻める」走りは封印し、景色に溶け込むようなスローペースを心がけてください。錦江湾を挟んで対岸の鹿児島市街を望むポイントなど、撮影にぴったりの場所が随所にあります。サイドスタンドを立てる場所が火山灰で不安定でないかを確認しながら、お気に入りの一枚を撮る。そんな「止まる楽しみ」を優先した走りが、心に深い満足感をもたらします。
【見直し】フェリーの乗降や狭い展望台で「軽さ」がもたらす心の余裕
鹿児島の旅を満喫するなかで、ふと「もしこのバイクがもっと軽ければ」と思う瞬間があるかもしれません。例えば、フェリー内でのタイトな整列や、急坂にある小さな展望台へのアプローチ。250kgを超える車体では、万が一の立ちごけを恐れて、魅力的な脇道を素通りしてしまうこともあるでしょう。もし、今の愛車があなたの「あそこに行ってみたい」という好奇心にブレーキをかけているなら、それは車両のサイズが今の体力や感性を超えてしまっている証拠かもしれません。もっと身軽な車両であれば、桜島の路地裏にある静かな神社や、地元の人しか知らない絶景ポイントへも、臆することなく入っていけるはずです。「重厚感」を維持することよりも、「機動力」を手に入れることが、あなたの旅の質をさらに高めてくれます。
桜島の圧倒的な存在感は、私たちに「自然の一部であること」を思い出させてくれます。そのエネルギーを最大限に受け取るためには、ライダー自身が心身ともに余裕を持っていなければなりません。フェリーを賢く使い、無理な歩行を避け、今の自分に最適な相棒とともに走る。そんなスマートな鹿児島の旅を終えたとき、あなたはきっと「また来よう」と心から思えるはずです。次の休みは、少しだけ重い荷物を下ろして、火山の島へ渡ってみませんか。
